地域調査士認定規程

(目的)

第1条 この規程は、地域調査士の資格、責務、認定の方法等を定め、社会におけるその適正な活動を促進し、もって地域の健全、かつ、持続的な発展に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この規程において「地域調査」とは、地域の特性の科学的な調査、分析、究明、解説、広報等を行う業務(報告書の作成その他これらの業務に付帯する業務を含む。)をいう。

2 この規程において「地域調査士」とは、地域調査に関して高度な知識及び実務能力を有する者であって、公益社団法人日本地理学会(以下「学会」という。)が第8条第2項の規定に基づいて認定した者をいう。

3 この規程において「専門地域調査士」とは、地域調査士のうち、地域調査に関して特に高度な知識及び実務能力を有する者であって、学会が第8条第3項の規定に基づいて準用する同条第2項の規定に基づいて認定した者をいう。

(地域調査士の責務)

第3条 地域調査士は、地域調査の実施に当たり、客観的な事実並びに科学的な思考方法及び手法に基づいて的確に業務を遂行するよう努めるとともに、法令の順守、個人情報の保護、地域住民との良好な関係の維持その他の地域調査士の業務の円滑な遂行と信頼の保持のために留意すべき事項を常に踏まえて活動するものとする。

2 前項の留意すべき事項の具体的な内容は、第15条第1項に規定する公益社団法人日本地理学会地域調査士認定規程細則(以下「細則」という。)で定める。

(地域調査士となる資格)

第4条 大学において、地域調査に関する科目を履修し、当該大学を卒業した者であって、地域調査に関する論文の公表等を行い、地域調査士の業務を遂行するための基本的な事項に関する講習を修了した者、又は第2項に規定する要件を満たす者は、地域調査士となる資格を有する。

2 大学院において、地域調査に関する科目を履修し、修士の学位を取得した者であって、地域調査に関して3年以上の実務経験を有するとともに、地域調査に関する高度な論文の公表を行い、地域調査士及び専門地域調査士の業務を遂行するための基本的な事項に関する講習を修了した者、若しくは地域調査に関する科目を履修し、地域調査に関する論文を提出して博士の学位を取得した者であって、所定の講習を修了した者、又は第14条第1項に規定する地域調査士認定委員会(以下「認定委員会」という。)が細則で定める基準に基づいてこれらと同等の能力を有すると認めた者であって、所定の講習を修了した者は、専門地域調査士となる資格を有する。

(科目)

第5条 前条第1項の科目は、認定委員会が細則で定める基準に基づいて認定したものでなければならない。

2 前項の規定は、前条第2項の科目について準用する。

(論文の公表等)

第6条 第4条第1項の論文の公表等とは、学術誌若しくはこれに準ずる書誌に論文を執筆し、掲載されること、学会が主催する大会その他の集会若しくは認定委員会が細則で定める基準に基づいてこれらに類するものとして認定した集会において研究成果を発表すること、又は卒業論文若しくはこれに代わる報告を提出し、受理されることをいう。

2 前項の論文、研究成果又は卒業論文若しくは報告は、認定委員会又は認定委員会が指名する者が細則で定める基準に基づいて適切であると認めたものでなければならない。

3 第4条第2項の高度な論文の公表とは、学術誌又はこれに準ずる書誌に論文を執筆し、査読を経て掲載されることをいう。

4 第2項の規定は、前項の論文について準用する。

(講習)

第7条 第4条第1項の講習は、地域調査士としての基本的な素養及び自覚を具備させるために必要なものであって、理事長が細則で定める基準に基づいて実施するもの又は認定委員会が指定した機関が細則で定める基準に基づいて実施するものでなければならない。

2 前項の規定は、第4条第2項の講習について準用する。この場合において、「地域調査士」は、「専門地域調査士」と読み替えるものとする。

(認定の申請)

第8条 地域調査士となる資格を有する者は、氏名、生年月日その他細則で定める事項を記載した申請書を地域調査士となる資格を有することを証明する資料とともに理事長に提出し、地域調査士の認定を申請することができる。

2 理事長は、前項の申請があったときは、認定委員会にこれを審査させ、その具申に基づき、認定を拒否すべき特別の事情がない限り、申請した者を地域調査士に認定し、地域調査士名簿にその者の氏名、生年月日その他細則で定める事項を記載するものとする。

3 前2項の規定は、専門地域調査士の認定について準用する。この場合において、「地域調査士」は、「専門地域調査士」と、「地域調査士名簿」は、「専門地域調査士名簿」と読み替えるものとし、専門地域調査士の認定の申請は、地域調査士の認定の申請を兼ねるものとする。

(認定の拒否及び取消し)

第9条 理事長は、前条第1項の申請が虚偽又は不正の事実に基づく申請であると認めるときは、認定を拒否することができる。

2 理事長は、地域調査士が地域調査士の認定の申請に際し、虚偽若しくは不正の事実に基づく申請を行ったことが判明した場合又は地域調査士がその信用を著しく失墜させる行為を行ったと認めた場合は、当該地域調査士の認定を取り消すことができる。

3 前2項の規定は、専門地域調査士の認定の拒否及び取り消しについて準用する。この場合において、「地域調査士」は、「専門地域調査士」と読み替えるものとする。

(情報の公開)

第10条 理事長は、地域調査士名簿及び専門地域調査士名簿に記載されている事項のうち、氏名その他細則で定める事項をインターネットを利用して公開するものとする。

2 地域調査士は、前項の規定に基づく情報の公開を差し止める権限を有しない。

(地域調査士認定証明書等の発行)

第11条 地域調査士は、理事長に対し、地域調査士認定証明書(請求者本人に係るものに限る。)の発行を求めることができる。

2 理事長は、前項の請求があった場合において、地域調査士名簿に基づき、請求者が地域調査士であることを確認したときは、遅滞なく、請求者に対し、請求者に係る地域調査士認定証明書を発行するものとする。

3 前2項の規定は、専門地域調査士について準用する。この場合において、「地域調査士」は「専門地域調査士」と、「地域調査士名簿」は、「専門地域調査士名簿」と、「地域調査士認定証明書」は、「専門地域調査士認定証明書」と読み替えるものとする。

4 地域調査士の資格を得ようとする者であって、細則で定める基準に適合する者は、理事長に対し、細則で定める基準に適合することを証明する資料を添えて地域調査士認定見込み証明書の発行を求めることができる。

5 理事長は、前項の請求があった場合において、申請者から提出された資料等に基づいて申請者が細則で定める基準に適合する者であることを確認したときは、遅滞なく、地域調査士認定見込み証明書を発行するものとする。この場合において理事長は、請求者が地域調査士となる資格を有することとなるために必要とする要件を明記するものとする。

(認定手数料等)

第12条 第8条第1項又は同条第3項の規定に基づいて準用する同条第1項の申請を行う者は、細則で定める額の手数料を納めなければならない。

2 第9条第1項若しくは第2項又は同条第3項の規定に基づいて準用する同条第1項若しくは第2項の規定に基づいて認定を拒否され、又は取り消された者は、既に納入した第1項の手数料の返還を求めることはできない。

3 前条第1項若しくは同条第3項の規定に基づいて準用する同条第1項又は同条第4項の請求を行う者は、細則で定める額の手数料を納めなければならない。この場合において、正当な理由により証明書の発行を拒否された者は、既に納入した手数料の返還を求めることはできない。

(専門地域調査士の有効期間)

第13条 専門地域調査士は、専門地域調査士の認定を受けた日から10年を経過した日の翌日において、その資格を失う。

2 前項の規定にかかわらず、理事長若しくは認定委員会が指定した機関が実施する講習を修了した専門地域調査士、又は専門地域調査士としての活動の実績について認定委員会が細則で定める基準に基づいて審査し、適当であると認めた専門地域調査士は、引き続き10年を経過する日までその資格を有する。

3 前2項の規定は、前項の規定に基づいて引き続き資格を有することとなった専門地域調査士について準用する。この場合において、「専門地域調査士の認定を受けた日」は、「引き続き専門地域調査士の資格を有することとなった期間が開始する日」と読み替えるものとする。

(認定委員会)

第14条 第4条第2項、第5条第1項、第6条第1項及び第2項、第7条第1項、第8条第2項並びに前条第2項の規定に基づいて行うべき事務を処理するため、各種委員会として、地域調査士認定委員会を設置する。

2 認定委員会の運営に関する要領は、理事長が別に定める。

3 理事長は、前項の要領を制定し、又は変更したときは、理事会に報告するものとする。

(細則)

第15条 この規程に定めるもののほか、この規程の運用に必要な細目は、細則に定める。

(改廃)

第16条 この規程の改廃は、理事長が行う。

附 則 この規程は、公益社団法人日本地理学会設立の日から施行する。
(2012年4月14日 第1回理事会承認)